【西洋の考え方が素晴らしいという考え方から解き放たれる】
幕末の英国大使のオールコックの『大君の都』を読んでいる。
文章が難解なので、なかなか進まない上に、当時の日本が見下されている感がたまらないために、時々嫌になる。
本を読んで初めて知ることもあり驚くのだが、もっと驚くのは、当時、西洋の方が進んでいた、という思い込みの先入観で読むから、余計にこれって?どうなの?というところが読み切れなかったりする。
当時の日本はまだ開拓が進んでいなかったこともあり、資源のある国で、外国からしたら、わりとまともな貨幣経済になっていたようだし、イギリスが貧乏(これは高校の歴史とかでもやるので知ってはいたが)だったようだし、産業革命を育てたアメリカが一気に力をつけた時期であること、ロシアはかなり紳士的な国であった、というあたりの横軸がうまく繋がらないと、解釈しにくい。本に書かれていることをそのまま鵜呑みにして、当時の日本は全然ダメだったと、読みかねない。
つまり、西洋が素晴らしいという思考があると、オールコックの見下し感はある意味、お金のないイギリス人、あるいは不誠実なイギリスの保身の言い訳、というように解釈できるが、そうでなければそこまで読み切れない。
これを知らずにいると、いつまでたっても、当時の本当のことが見えてこない。
そして、少し当時のことが見えてくると、それが現代にまで少しずつすこしずつ影響していることがわかる。
西洋の教育は素晴らしい、西洋の文化は素晴らしい、西洋の思考法は素晴らしいというふうに、盲目的に取り入れがちなんだろうとおもう。
でも、もしかして、日本の中にもとっくの昔からそんなような考え方をしている人もいたのかもしれないし、解釈もちゃんとできている人もいるのかもしれないんだよなあ。
古典を読むというのは、これまでの自分の思い込みから離れて、著者のあるがままを見ようとする試みなんだろうなと思う。
おもしろいけれど、なかなかしんどい作業です。
でも、この歳だから楽しめる学びなんだろうとも思う。
『大君の都』読みながら一緒に、本当らしさに近づきたいなと思う人がもしいたら、ご連絡ください。
ぜひ一緒に読みましょう。